山根口腔インプラント研究所からの伝言 No.16
医療法人社団 山根歯科医院
理事長 山根 進
理事長 山根 進
天然歯と天然歯の隣接面接触関係はどうあるべきか.臨床的には,食物がつまらないようにするために,歯間に50ミクロンのコンタクトゲージ(接触点診査用ゲージ,緑)が通過する接触状態であり,しかも患者様がキツイと感じない状態をめざしております,
しかし,治療後,しばらくはその状態は続きますが,残存歯の治療,咬耗,抜歯等により,噛み合わせ状態が変化し,しかも加齢により歯槽骨が吸収し,歯牙の動揺が大きくなると,隣接面接触点状態はゆるくなり,食片が歯間につまるようになってきて,ブラッシングだけではなく,歯間ブラシ,フロスなどの補助清掃具を使用し,場合によっては治療をふたたびしなければならないこともおこります.
インプラントのかぶせもの(上部構造)と隣接歯の隣接接触面は基本的には天然歯と天然歯との関係とおなじであります.ただ,インプラントは骨と直接接触しており,動きませんが,天然歯は歯のまわりに300ミクロン程度の歯根膜があり,周囲の骨の吸収,添加をおこしやすく,移動しますので,やはり,インプラントのかぶせものと天然歯の間に離開が起こりやすい.最初,良好な接触状態を保っていても,時間の経過とともに,口腔内の環境が変化してくると,食物がはさかるようになってきます.そうすると,悪循環で,さらに食物がつまってきて,離開が大きくなってきます.
そして,歯肉の炎症が起こり,慢性になってくると、歯槽骨の吸収がおこり,インプラントが動揺をきたし,摘出ということになりかねません.それを防ぐには,やはり定期検診が必要であり,かならず検診をうけるようにしてください.
隣接面接触状態 | 50ミクロン | コンタクトゲージ |